近年注目の「事業構想」で世界へ挑む。事業構想大学院大学が福岡で目指すゼロイチを生む人材育成とは?

講義の様子

 2018年4月、真のイノベーターを育成する社会人向け大学院「事業構想大学院大学」がアジアの中心を目指す福岡に開校する。企業における“事業構想力”は、経営者だけでなく、新しい産業を見出す新規事業担当者にとっても欠かせないスキルである。創業から事業継続、利益の最大化を目的とするMBA(経営管理)に対して、その前段階にフォーカスするMPD(事業構想)に関する研究が近年注目を集めている。なぜ、今“事業構想力”が必要とされているのか。その背景と福岡の地で目指す大学院の展望に迫る。

世界にチャレンジするアプローチとして注目すべき「理想を現実化する事業構想」

—社会人向け大学院「事業構想大学院大学」とは、どういった大学院でしょうか?

 事業構想大学院大学は、MBAの前段階となる事業の根本からアイデアを発想し、事業構想を考え、実現するための構想計画を策定することを目的としています。多彩な教員人のほか、第一線で活躍し時代をリードする実業家や事業家・専門家・クリエイターなど、年間150人を超えるゲスト講師から直接事業構想のヒントを得ることができる社会人向け大学院です。2014年4月に東京・青山に開校し、2018年4月には、大阪と福岡にて開校します。

—なぜ、今「事業構想」に特化した人材育成に注力を?

 そもそも事業構想とは、企業の経営資源を活かして理想の姿を描くこと。その理想をひとまずのゴールとし、それを実現するためのアイデアを現実化していくことこそが重要です。世界では、理想の姿を描き、明確な事業構想を持ったイノベーターが業界を席巻しています。それに対して、事業構想を磨き上げる前に他社の成功事例を日本風にアレンジしている企業や、イノベーションを技術革新と捉えている例は少なくありません。

 本学は、日本の社会や地域に事業構想を考える人が増えれば、その地域は活性化するのではないか、という考えのもとに開学をしました。地域と日本企業が変革の岐路に立たされている今こそ、世界にチャレンジするアプローチとして「事業構想」に特化した人材育成、すなわち「新規事業」を生み出せる人材育成が必要だと考えています。

世界に近い福岡特有のマインドが「事業構想」を加速させる

事業構想大学院大学 学内イメージ
天神駅から徒歩5分。事業構想大学院大学 FUKUOKA — 学内イメージ

—次なる開学の地に福岡を選んだ理由は?

 当初から福岡は必ずやりたい土地のひとつでした。まずは、オープンな姿勢と柔軟性を兼ね備えている先取の気質です。また、アジアと近いことも他地域の企業と比較して国内外の線引きをしない人が多い気がします。すでに世界シェアを誇る地場企業が存在していることもあり、そのマインドに可能性と期待を感じています。

事業構想大学院大学イメージ

—アジアに近い福岡ならではのマインドなのですね。そのマインドが事業構想にどのように寄与するのでしょうか?

 社内に新規事業部門をつくったけれど、なかなかうまくいかないという声をよく聞きます。なぜなら自分の中や社内だけで考えてしまっているから。常識を共有し、業界の風習に倣っていては、アイデアが浮かんでもできない理由を探してしまい、全く進まない。既成概念を共有してしまっているんです。そこを打破するためには、ある程度の問題意識を持ち、様々な情報をキャッチしている者同士でアイデアについて議論することが重要です。クリエイティブの生産性はオープンである方が遥かに高い。そういった意味で、オープンな姿勢と柔軟性を持った福岡の気質は「事業構想」を加速させると考えています。さらに事業アイデアだけではなく、独自性と持続性のある事業にするための社会変化をも読み込んだ構想計画を構築することで、イノベーションを多く生み出せると考えております。

MPD(事業構想)で新規事業を生み出せる人材へ

事業構想大学院大学イメージ

—具体的には、どういったことを学びスキルを養うのでしょうか?

 まずは、事業構想修士(Master of Project Design、以下MPD)において未来を見据えた「新しい事業」を構想します。一般的に経営管理修士(Master of Business Administration、以下MBA)では、創業から事業継続までを対象とし、利益を最大化することが目的ですが、MPDはその前段階である理想の構想と実現計画を練り上げるもの。このMPDを熟知し、発想から計画実行まで完遂できる人材こそが、ゼロイチを生み出せる人材です。

 具体的には、事業構想サイクルに基づき、とにかくアイデアを紡ぎます。さらに、社会動向・技術動向と事業構想を重ねながら、未来の動向に想像を巡らせて解決方法を探り、ビジネスと連結させる。その気付きを与えるために、九州と日本を代表する実務家や研究者を講師に迎えています。少人数制なので、講師陣とのコミュニケーションを取りながら構想と構想計画を創り上げることが可能です。

—最後に、世界へのアプローチとしての「事業構想」において1番必要だと思う点を教えてください

 本学の理事長がよく話すのは、「事業構想というのは誰にでも考えることができるが、本気でやらなればできない。しかし、本気になれる人は少ない。」ということ。他人を感動させ、顧客を満足させるためには、意欲や使命感を抱いているか、自分自身がワクワクできるものであるかどうかが重要だと思います。世界に一番近い福岡の企業やヒトが持つマインドこそ、ゼロイチを生み出すエレルギーであり、「事業構想」を加速させるキーポイントです。

真のイノベーターは「新しい事業」を生み出す人材であり、イノベーターは未来を見据えて企業を飛躍させる。「事業構想大学院大学」から福岡発・世界的リーダー企業が生まれることに期待したい。

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